近年、あらゆる仕事において、パソコンやタブレット端末など情報機器での作業が必要とされてきています。
そういったなかで、長時間の作業で目が疲れている、肩が凝っているという方も多いのではないかと思います。
厚生労働省では、こういったパソコンでの作業など職場における情報機器の操作を原因とした心身の不調を防止するため、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」といいます)を設けています。
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余談ですが・・・
労働衛生管理でパソコンなどの作業というと、以前は「VDT作業」と呼んでいたのですが、社会情勢の変化に伴い、スマホやタブレット端末への対応、高齢者対策、テレワークへの対応などの必要が生じたため、今年の7月にガイドラインが改正され、その際、作業区分等を整理するとともにわかりやすく「情報機器作業」と言い換えられました。
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ガイドラインでは、大きな枠組みとして、以下の4点を示しています。
①作業環境管理
机や椅子の高さ、ディスプレイの明るさなどを作業がしやすく疲れにくい環境に整える
②作業管理
一定時間ごとに休息を挟む、作業時間に上限を設ける、疲れにくい姿勢をとるなど、作業をコントロールして心身への負荷を減らす
③健康管理
作業による心身の不調を未然に防ぐ、または早期に発見・改善するために、情報機器作業に関わる健康診断項目を設けたり、健康相談がしやすい体制を整えるなど
④労働衛生教育
作業者や管理者が①~③のことを理解し、日頃から実践できる知識を身につける
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情報機器作業の特徴としては、「拘束的」という言葉がガイドラインでは使われています。
例えば、
・時間的な拘束(作業量など含む)
・場所的な拘束
・姿勢の拘束
などが考えられます。
簡単に言えば、「長時間じっとしている」ということです。
上述の「①作業環境管理」「②作業管理」は、こういった拘束的な作業環境における負担を減らし、疲労や心身の不調を予防することにつながると考えられています。
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これら情報機器作業による疲労は、個人差が大きいといわれています。
また作業者自身が疲れていることに気付かない場合も多く、健康診断や産業医による健康相談などで客観的に観察することも必要です(つまり「③健康管理」が必要)。
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さらに、作業者自身に、以下のような疲労の防止・改善に役立つ情報を提供するなど、「④労働衛生教育」を効果的に用いることで、心身の不調について自覚を促したり、日常的に疲労軽減を図ることができると考えられます。
・疲れにくい作業姿勢
・健康への影響(目の疲れや凝りなど症状の現れ方)
・ディスプレイの明るさ調整や椅子の高さ・位置の調整など
・定期的な休息の必要性と取り方
・作業計画の策定
・体操・ストレッチ
・健康相談窓口の周知
など(詳しくはガイドラインを参照のこと)
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以上のような取組を、ガイドラインを参考にしながら、産業医をはじめとした職場の産業保健スタッフ等とともに策定していくことが望ましいでしょう。
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情報機器作業においても、衛生管理の基本である「労働衛生の3管理」+「労働衛生教育」が、作業者の健康を維持するために有効だと考えられます。
このガイドラインは、法的に義務づけられているわけではありませんが、会社にとっては安全配慮義務を果たすため、従業員にとっては、契約に基づく労務を提供するために自己の健康を保つ義務(「自己保健義務」と言います)を果たすために、必要な取組であると言えます。
ガイドラインをすべて取り入れることは一朝一夕には難しいかと思われますが、作業の合間のストレッチや定期的な休息(1時間の連続作業につき1~2分の休息等)など、まずは職場に合わせて実行しやすい取組みから始めることも方法のひとつかと考えます。
<参考>
情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて
https://www.mhlw.go.jp/content/000539604.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000539603.pdf
「情報機器作業における労働衛生のためのガイドライン」を策定しました(リーフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/leaflet.pdf